新生児黄疸とは

黄疸は血液中にビリルビンが増加し、皮膚などが黄染した状態です。新生児の約80%は生後2〜5日頃より黄疸が起こり、遅くとも3週間以内で、消えていくものです。
  これは生理的に起こった一種の溶血性黄疸で、胎児期の赤血球は、生後溶血(赤血球が壊れたこと)を起こしやすく、肝臓の働きが未熟なためにビリルビンの処理がうまくいかなくて黄疸を起こしやすくなるのです。新生児の黄疸の大多数は生理的なもので治療の対象にはなりません。しかし、生後7〜10日以内で黄疸が強い場合は、その一部が核黄疸をひき起こし脳性麻痺を残すことから、十分注意しなければならないのです。

核黄疸とは

核黄疸は血液中のビリルビン値が高くなると大脳基底核を中心に黄染をきたし脳細胞が侵される病気です。
その結果特有な中枢神経症状を起こし、脳性麻痺に至ることがあります。入院中に黄疸のチェックを行い、必要に応じて光線療法や交換輸血を行うことによって核黄疸が著明に減少していますが、最近、保険制度上から早期退院を促されている米国では、核黄疸が再び増加しており、大きな問題になっているようです。

なぜ生後10日以内の黄疸のチェックが必要なのですか?

血液中のビリルビンは血液脳関門(blood-brain barrier)という篩い(ふるい)のために脳には流れて行かないようになっています。
しかし出生直後の新生児は血液脳関門が未熟なために、高ビリルビン血症があればビリルビンは血液脳関門を通過して核黄疸を起こすことになります。しかし、血液脳関門は生後10日目以降は成熟するので、ビリルビンは血液脳関門を通過できなくなり、核黄疸の起こるおそれはなくなると言われており、この間の黄疸のチェックが必要になるわけです。